ME当事者が制作した映画『Unrest』を観ました

ME(筋痛性脳脊髄炎)当事者である。ジェニファー・ブレアさんによる映画『Unrest』(邦題：不安と共に生きる)を観ました。

Unrest公式サイト(英語)
https://www.unrest.film/

どんな映画？

MEとの闘いの日々を克明に記録したドキュメンタリー映画で、体調のマシな時もクラッシュして座ることもできない時も一部始終をカメラに収め、いちME患者のリアルな日常を記録した貴重な映画です。

当事者の体験だけでなく、現役でME患者の治療にあたる医師、その他の医療従事者の証言や様々な科学的根拠をもとに病気について説明されていたので、私自身初めて知ったことも多いです。

【2023年5月17日追記】
2023年5月『Unrest』は全編YouTubeに公開されました。

印象に残ったこと

印象に残ったのは、抗ウイルス薬により体調が上向きになり、歩けるようになった時、治療法を探す旅の途中、カビをめぐって夫と口論になった時や、クラッシュして座ってさえいられない時の様子など。

普通の映画や小説では描かれることのない、病気が日常であり人生の一部であることを感じさせる映像の数々。

私自身ME発症から27年になり、ジェニファーさんの症状は画面越しでも痛いほど想像が出来てしまうので、ときおり休憩しながら観ました。

ジェニファーさんは間違いなく重症ですが、全く健康な人のように振る舞える日もあれば、クラッシュして寝たきりを繰り返していたように見えました。

私自身、発症から最初の5年間は、健康に見えるような日と自力でトイレに行くこともできない寝たきりのような日を繰り返していたので、そんな状態なのかと思いました。

驚いたこと

「MEは見た目ではわからない」という事実を、この映画ではっきりと感じました。

私は闘病が長いこともあり、家族や友達が風邪を引いていたり、疲れていたりした時はすぐに気がつきます。顔色の変化にも敏感です。

しかし、驚いたことに、ジェニファーさんが体調がマシで外でくつろいでいる時、笑顔で歩いている時はME持ちには全く見えず、健康そうに見えました。

「同病患者から見ても、ME患者ってこんなに元気そうに見えるんだ…」という事実に、衝撃を受けました。

体調が極悪で、しゃべったりトイレに行くのもままならない時の自分の姿って、映像で見ることはまずありませんからね…。

同時に自分も、自分が思っているよりずっと健康そうに見えるのだろうことに、気づかされました。

見えない病気だからこそ

今自分の周りにいる友人たちが、自分の言っていることを信じ、想像し、できる限り力になろうとしてくれていることに今まで以上に感謝の気持ちが湧きました。

同病患者から見ても、病気には見えない病気。それでも寄り添い、先入観なしに気遣ってくれる周りの人たちには本当に助けられています。