ゆらりさん著【ある日突然、慢性疲労症候群になりました】を読みました!

「くまさんのCFSつれづれ日記」でお馴染みのくまさんが、コミックエッセイになりました!

その名も「ある日突然、慢性疲労症候群になりました」。
ある日突然慢性疲労症候群になりました表紙茶
著者はご自身も重度の慢性疲労症候群(以下ME/CFS)患者のゆらりさん。

今月8日発売で、25日には電子版の配信も始まります。 

どんなお話?

介護士を目指して専門学校に通っていたくまさんが、ある日突然、風邪のような体調不良をきっかけにME/CFSを発症。

数週間、数か月、数年経っても良くなるどころか悪くなるばかり。病名からは想像もできないほどの激烈な症状に、精神的にも経済的にも追い詰められていきます。しかしME/CFSとの長年に及ぶ死闘の末、何とか生きる術を見つけるお話です。

病気を取り扱った本はとっつきにくいイメージがあります。本書も著者自身が重度のME/CFS患者であるがゆえに、内容はとことんヘビーです。しかし、くまさんを始め、うさぎさんやコアラ先生など、登場するキャラクターがとにかく表情豊かでかわいいため読みやすいです。

しかもキャラがかわいいだけではありません。監修の倉恒弘彦(くらつね ひろひこ)先生の寄稿された巻末の「かいせつ」で、医学的見地からも信頼の置ける情報であることが分かります。倉恒先生は、ME/CFSの研究でその名を知られた名医で、この病気のスペシャリストです。

当事者視点での感想

とにかくリアル。

ME/CFSには様々な症状があります。生命の危機を感じるほどの強烈な倦怠感、頭が割れると思うほどの頭痛、横になっていても倒れそうなめまい、世界が終わりのように感じられるほどの気分の悪さ、少しの刺激が痛みに変わる感覚過敏などなど、これらの症状が24時間365日続きます。

これをくまさんが様々な比喩表現や例え話で教えてくれます。
「そうそう、そんな感じ」「すんごく分かるわー」と何度も頷きながら読みました。

さらに精神的なつらさも、自分のことが書いてあるのではないかと錯覚するほどでした。病気だと信じてもらえず「怠けてる」「甘えている」「サボり」と言われて傷ついたり、健常者のふりをして必死で周りに合わせようとしたり…。
人が当たり前にこなすことが出来なかった不甲斐なさ、人の期待に応えられない情けなさ、そして自分に対しての失望。くまさんの様子を見て、自身の闘病生活と重なり泣きました。

私自身もくまさんのように、周りから根性がないとか、やる気がないとか言われ続け、本当に自分でもそうなのではないかと疑うことも何度もありました。何でも気合いで乗り切ろうと、ミニバスやサイクリングを始めましたが、症状を悪化させただけでした。

こういった経験はME/CFSに限らず、見た目では分からない難病を抱えた多くの人がしているのではないかと思います。

症状を伝える表現集

私にとって特にありがたかったのが、くまさんの言葉遣い。
ME/CFSの症状は実に摩訶不思議で、その予測不能な症状をうまく言葉にすることが出来ないことが多いです。

病的で猛烈なだるさや、延々と繰り返すめまいや気分の悪さなど、健康だった時にはその存在すら知らなかった症状なので、特に健康な人に対してはどう説明すれば良いのか、私はいつも悩みます。

でも本書を読みながら、「あぁ、このだるさはこうやって表現すればいいのか」「この痛みはこんな風に言えば分かりやすいな」といった具合に言葉を教わりました。分かりやすい例えや、的を射た表現がたくさんあり、当事者としてとても勉強になります。

4コマ漫画もあります

ある日突然CFSP126
私は数年前から、ゆらりさんに許可を頂いた上で、「くまさんのCFSつれづれ日記」を英訳し、ツイッターと当ブログに公開しています。すでに英訳の済んだ4コマ漫画も多数収録されており、くまさん専属翻訳者(=私)としては嬉しい限りです。

ちなみに画像にある作品は「言えなかった言葉①&②」「病気よりつらいもの」「笑顔≠元気」です。 

まとめ

ある日突然
慢性疲労症候群になりました裏表紙茶
日本全国で数万人いるとされるME/CFS患者ですが、その病気の特性により家に引きこもることを余儀なくされたり、寝たきりになることも珍しくありません。そのため、社会との接点が極端に少なく、病気の存在を知ってもらうことすら容易ではないです。

そんな状況の中、このように読みやすく、分かりやすいコミックエッセイが世に出たことの意義は大きいです。

ぜひ多くの人に読んで頂き、ME/CFS患者を日々直面する現実を知ってもらいたいです。ME/CFSが、身体的疾患として当たり前のように認知される日が来ることを願って。

タイトルとURLをコピーしました